?


本場の中医師による本格的中医学が学べます。中医学的養生相談も受けられます!


中医学古典勉強会


「黄帝内経勉強会」

『黄帝内経』(こうていだいけい)は、現存する中国最古の医学書で、それは春秋戦国時代以来の医学理論の著作にもとづいて、その精髄を採り、要約して編集 し、まとめて本にしたものです。『素問』(そもん)と『霊枢』(れいすう)に分けられ、黄帝が岐伯(きはく)、雷公(らいこう)らとの問答形式で、中医学 の思惟方法、人と自然の関係、人体の生理、病理及び疾病の診断、予防、治療を論述しました。中国医学の聖書といわれます。中医学を学習する者に必ず読む本 です。
ある程度の中医学の知識を積んでくると、古典を読みたくなります。
本当の中医学基礎知識を修得するのは、ちゃんと黄帝内経の原典を勉強すべきでしょう。
古典を読むまいと、中医学の精粋を修得することができません。
古典を読むのは知識を得る近道ともいえます。
原文・原点から始め、古典の精粋、雰囲気を味わうことを重視したいと思います。
内容が難しいかもしれませんが、先生の説明の上、日常の生活、養生における応用を加えると、『内経』の理論と思惟方法をより全面的に理解できて、自然にわかりだすことになるので、是非、ご参加ください。

「黄帝内経勉強会」第一期 日程表  

期日
内容
詳細
1回

『素問・上古天真論』から入ります
『黄帝内経』とは
黄帝内経は何を語っていますか
中医養生原則。法於陰陽・和於術数・順応自然・天人合一・形神一体
黄帝内経生命に対する認識
2回
  
『黄帝内経』における陰陽・五行学説①
『素問・陰陽応象大論』原文
原文読み。注釈、解釈、解説。
陰陽調節方法、陰陽学説は養生における応用
3回
  
『黄帝内経』における陰陽・五行学説②
『素問・金匱真言論』『素問・陰陽離合論』などを選んで、原文読み。注釈、解釈、解説。
五行の相生相克による応用
4回

    精気学説
精気神
    『素問・五常政大論』『素問・天元紀大論』『素問・五運行大論』『素問・六微旨大論』から原文を選んで、読み、解説。
精気の基本概念・基本内容・人体の精・気
5回
 
『黄帝内経』における気・気運
気は何か・気の運行・気化とは
百病生於気・気の調節方法
6回

『黄帝内経』における臓腑①
『素問・六節蔵象論』『素問・霊蘭秘典論』『素問・五蔵別論』『素問・五蔵生成論』などから選んで、読み、解説
7回

『黄帝内経』における臓腑②  
 養生における応用
五臓養生
8回

『黄帝内経』における病因病機
『霊枢・百病始生』『霊枢・邪気蔵府病形』『素問・風論』『霊枢・本神』『素問・至真要大論』などから選んで、読み、解説。
養生における応用
9回

『黄帝内経』から見る養生思想 
  『素問・上古天真論』『素問・四気調神大論』『霊枢・天年』原文読み。解説
治未病。養生に関する理論・原則・養生智慧
黄帝内経に基づいた養生法
10回
『黄帝内経』における養生
四季養生・食養生・起居養生
終了後、受講証明書を発行します。


「黄帝内経勉強会」第二期 日程表 


期日

内容

詳細

1

熱病

『素問・熱論』『素問・評熱病論』など、原文読み、解説

外感熱病の概念、病因、伝変規律、治療原則、飮食禁忌

2

咳証

『素問・咳論』 原文読み、解説

咳の病因病機、辨証治療

3

痛証

『素問・挙痛論』『霊枢・厥病』 原文読み、解説

頭痛、心痛などの痛証の辨証治療

4

風証

『素問・風論』原文読み、解説

風証の病因病機、辨証治療

5

痹証

 

『素問・痺論』原文読み、解説

各種の痹証、病因病機、辨証治療

6

痿証

『素問・痿論』原文読み、解釈

痿証発生の病因病機、辨証治療

7

水証

 

『霊枢・水脹』『素問・水熱穴論』原文読み、解説

水腫の病因病機、辨証治療

8

月経病

『黄帝内経』における月経病の診断治療方法

9

睡眠病証

 

『霊枢・営衛生会』原文読み、解説

睡眠について、睡眠病の病因病機治療

10

健忘

『霊枢・大惑論』原文読み、解説

健忘の病因病機、辨証論治

11

鬱証

『素問・六元正紀大論』 原文読み、解説

鬱病の病因病機辨証論治

12

消渇

『霊枢・五変』『霊枢・奇病論』 原文読み、解説

糖尿病の辨証論治

13

復習及びテスト・修了認定

講座の内容について進捗度合いにより調整する場合がございます。

終了後、受講証明書を発行します。

 


『黄帝内経』における養生

国伝統医学を多くの方にお 伝えしたいと思います

まず中医学の原点である『黄 帝内経』から始めましょう 

現代語訳は「黄帝内経素問」 (東洋学術出版社)を参考にします。


早期老衰の原因は「養生を知らず」にある

 【原文】 『素問・上古 天真論』
余聞上古之人、春秋皆度百歳、而動作不衰。今 時之人、年半百而動作皆衰者、時世異耶、人将失之耶。岐伯対曰、上古之人、其知道者、法於陰陽、和於術数、食飲有節、起居有常、不妄作労。故能形与神倶、 而尽終其天年、度百歳乃去。今時之人不然也。以酒為漿、以妄為常、酔以入房、以欲竭其精、以耗散其真。不知持満、不時御神。務快其心、逆於生楽、起居無 節。故半百而衰也。

【現代語訳】 黄 帝が岐伯に問う。「私は、「上古の人はみな百歳になるまでも生き、しかも行動は衰えたりしてはいなかった」と聞いている。ところが、現在の人は五十歳にな るやならずで動作が衰えてしまう。これは時代環境が異なっているためなのか、それとも人々が養生の道にはずれているためなのか」。岐 伯が答える。「上古の人は、養生の道理をわきまえ、陰陽にのっとり、術数に合わせ、飲食には節度があり、労働と休息にも一定の規律があり、妄りに動くこと をしませんでした。それゆえに肉体と精神とは、とても健やかで盛んであり、彼らが当然享受すべき年令まで生きて、百歳をすぎて世を去ったのです。現在の人 はそうでなく、酒を水のように食り飲み、異常なことを平常として生活し、酔っては房事を恣いままに行い、色欲のおもむくままにして、精気を使い竭し、真元 を消耗し散佚させてしまいます。精気を保持することを知らずに、常々精力を用い過ぎ、一時の快さを貪り、養生に反して享楽しています。生活に一定の規則が ありません。こんなことだから五十歳になるやならずで衰老してしまうのです。」 

【解説】 古 今の寿命の比較を通じて、養生による長寿の重要性を論述している。「上古の人」は自然界陰陽法則に基づいて生活するので、百歳になるまでも生きる。「今時 の人」は養生の原則に反するので、五十歳にならずに衰老する。このような違いは養生しているかどうかにある。養生は健康と長寿に対する重要な意義を説明し ている。
 多くの重要な養 生原則、例えば「法於陰陽、和於術数」、「食飲有節、起居有常、不妄作労」「形与神倶」、「房事適度」、「労逸適度」、「保精寧神」などは重要な養生 原則である。

『黄帝内経』にお ける養生―治未病の思想

 【原文】  『素問・四気調神大論』

是故聖人不治己病治未病、 不治己乱治未乱、此之謂也。夫病己成而後薬之、乱己成而後治之、譬猶渇而穿井、闘而鋳錐、不亦晩乎。

【現代語訳】  このゆえに「聖人は、病気になってしまってから治療するのではなくして、まだ病いにならないうちに治療する」、というのである。国家を治めるのと同じよう に、騒乱が起こってしまってから、これを治めるのではなくして、騒乱の発生する前に、未然にこれを防ぐのである。仮りに疾病がすでに発生してしまってから 治療したり、戦乱がすでに起こってしまってから平定するということであれば、つまり、口が渇いてやっと井戸を掘ることを思いつき、戦争になってからやっと 武器を造ることを考えるのと等しく、それでは、あまりにも遅すぎるのではなかろうか。

 養生原則
1.精神を調節す る

中 医学は人の情志活動と人体の健康との関係を非常に重視している。七情が太過(激しいや長期間にわたる)すれば、直接に臓腑に損傷を与え、気機の失調、疾病 の発生を起こすことになる。さらに人体の正気を損傷し、人体の自己調節能力を減退させる。従って、調神、養神、養性は養生の重要内容である。『素問・上古 天真論』は「恬憺虚無、真気従之、精神内守、病安従来」(恬憺虚無なれば、真気これに従い、精神内に守る、病安んぞ従い来らんや)といい、即ち、心がけは 安らかで静かであるべきで、貪欲であったり、妄想したりしてはならない。そうすれば真気が調和し、精神もまた内を守ってすりへり散じることはない。このよ うであれば病が襲うというようなことがあろうか、と説いている。

第一:情志病証

 【原文】  霊枢・本神
是故?惕思慮者則傷神、神傷則恐懼、流淫而不止。因悲哀動中者、竭絶而失 生。喜楽者、神散而不蔵。愁憂者、気閉塞而不行。盛怒者、迷惑而不治。恐懼者、神蕩憚而不収。

【現代語訳】 畏 怖と思慮がすぎれば心神を傷り、心神が傷られば恐れるようになる。悲哀がすぎれば内に肝を傷り、正気を竭亡させて死亡する。喜楽がすぎれば神気が散じて固 守しない。憂いがすぎると気の機が閉塞して通じない。大いに怒った後は精神が混迷する。恐れが甚だしければ神気が散失して収まらない。

【解説】 「?惕思慮者」、「喜 楽者」、「愁憂者」、「盛怒者」、「恐懼者」などの情志による病証を述べている。



【原文】  素問・挙痛論

百病生於気也。怒則気上、喜則気緩。悲則気消、恐則気下。寒則気収、炅則気泄。驚則気乱、労則気耗、思則気結。 

【現代語訳】 疾病が気の異常に よって発生する。激しく怒れば気は上逆し、大いに喜べば気は弛緩し、悲しめば気は消沈し、恐れれば気は下降する。また寒にあえば気は収縮し、熱によって気 は外泄する。驚けば気は乱れるし、過労によって気は消耗し、思慮すれば気は鬱結する。

【解説】 情 志過激、寒熱偏盛、疲労過度などの素因は、いずれも臓腑機能の障害、気機の失調を引き起こし、多種の疾病を発生させる。七情にょる気機の失調としては、怒 則気上、喜則気緩。悲則気消、恐則気下、驚則気乱、思則気結などである。気候素因によるものは、寒則気収、熱則気泄などである。生活起居によるものは、労 則気耗などである。このことからわかるように、多くの内外素因はいずれも気機失調の病変を引き起こす。したがって、「百病は気より生じる」というのであ る。
 

第二:調養精神の 具体方法

【原文】 素問・上古天真論

夫上古聖人之教下也、皆謂 之虚邪賊風、避之有時。恬憺虚無、真気従之、精神 内守、病安従来。是以志閑而少欲、心安而不 懼。形労而不倦、気従以順。各従其欲、皆得所願。故美其食、任其服、楽其俗、高下不相慕。其民放曰朴。是以嗜欲不能労其目。淫邪不能惑其心。愚智賢不肖不 懼於物。故合於道。所以能年皆度百歳、而動作不衰者、以其徳全不危也。


【現代語訳】
 古 代の聖人は、人々を教え導くにあたって常にこう述べたものである。外界の虚邪賊風に注意して回避すべきときに回避すると共に、心がけは安らかで静かである べきで、貪欲であったり、妄想したりしてはならない。そうすれば真気が調和し、精神もまた内を守ってすりへり散じることはない。このようであれば病が襲う というようなことがあろうか、と。このため人々の心はきわめて閑かで、欲望は少なく、心境は安定していて、恐れることがなかった。肉体を働かせても過度に 疲労することはなく、正気は治まり順調だったのである。それぞれの望むところは満たされ、食べたものをおいしく思い、着たものを着心地よく思い、習わしを 楽しみ、地位の高低をうらやむことがなく、人々はいたって素朴で誠実であった。正しくない嗜好も彼らの耳目をゆりうごかさず、淫らな邪説も彼らの心情をま どわすことはなかった。愚鈍、聡明、有能、または不肖な人を問わず、何事に対してもまったく恐れることはなかった。してみると彼らがあらゆる点で、養生の 道理に合致していたことがおわかりだろう。だから皆が年百歳に達することができて、しかも動作にも少しも衰えたところがなかった。これは彼らが養生の道理 をすべて掌握していたからであり、こうであってはじめて疾病の危害を招かずにすむのである。 
 
【解説
】 本 文は、「真気従之、精神内守」に達するためには、必ず外来の「虚邪賊風」に対して「避之有時」をし、同時に内在の精神情志に対して「恬憺虚無」をしなけれ ばならない。こうすればこそ、延年長寿ができる。恬憺虚無」という重要な養生原則を提起した。どのようにして「精神内守」あできるのか、第一:「志閑而少 欲」。私心、私欲、嗜欲は出し過ぎれば、神気を動かし、神気の清静を破壊することになる。第二:「恬憺虚無」。静をもって神を養い、神気清静すれば、長生 きすることができる。このほかに、原文はまた多くの養神方法を提起した。例えば、「高下不相慕」、「美其食、任其服、楽其俗」、「心安而不懼」など、いず れも重要な意義がある。


2.自然に順応す る

 自 然界の陰陽消長は人体の陰陽の気に影響するので、人体は必ず自然の陰陽消長変化に適応しなければならない。『霊枢・邪客』に「人与天地相応」とある。『素 問・宝命全形論』は「人以天地之気生、四時之法成」という。即ち、人は天地の大気と水穀の精気に依拠して生存し、四時の生長収蔵の規律に順応して生長して いる。自然界の変化に適応しなければ、疾病の発生を引き起こすことになる。『素問・四気調神大論』に「陰陽四時者、万物之始終也、死生之本也。逆之則災害 生、従之則苛病不起」とあ る。陰陽四時の変化 は、万物の生長、衰老死亡の根本である。これに反すると災害をまねき、これに順えば疾病も生じない。自然界の陰陽消長 法則に従う養生は、中医養生学の基本原則である。『素問・四気調神 大論』は四季変化法則に従い、「春夏養陽、秋冬養陰」の養生原則を指摘した。 

 【原文】 四時 調神大論

夫四時陰陽者、万物之根本 也、所以聖人春夏養陽、秋冬養陰、以従其根、故与万物沈浮於成長之門。逆其根、則伐其本、壊其真矣。
故陰陽四時者、万物之終始 也、死生之本也。逆之則災害生、従之則苛疾不起、是謂得道。道者、聖人行之、愚者佩之。

【現代語訳】  四時陰陽の変化は万物の生長収蔵の根本である。そこで聖人は春と夏には陽気を養い、秋と冬には陰気を養って、この根本に順うのである。こうして聖人は、万 物と同様に、生長発育の正常なリズムを充分保てるのである。仮りにこれに反してしまうと、生命の根本が傷つき伐られて、真気もまた損なわれ、壊えてしま う。そこで陰陽四時の変化というものは、万物の生長、衰老死亡の根本だというのである。これに反すると災害をまねき、これに順えば疾病も生じない。これが つまり養生法をわきまえるということである。養生法については、聖人は着実にこれを行うが、愚か者はかえってこれに背いてしまう。


【原文】 『素問・四気調神大論』

春三月、此謂発陳、天地倶 生、万物以栄。夜臥早起、広歩於庭。被髪緩形、以使志生。生而勿殺、予而勿奪、賞而勿罰。此春気之応、養生之道也。逆之則傷肝、夏為寒 変、奉長者少。
【現代語訳】
 春 の三ヶ月は、万物が古いものを推し開いて、新しいものを出す季節であり、天地間の生気が発動して、ものみなすべてが生き生きと栄えている。人々は少し遅く 寝て少し早く起き、庭に出てゆっくりと歩き、髪と解きほぐし、体を伸びやかにし、心持ちは活き活きと生気を充満させて、生れたばかりの万物と同様にすると よい。ただひたすらその生長にまかせるべきで、殺害してはならない。ただひたすら成長を援助するべきで、剥奪してはならない。大いに心をはげまし、目を楽 しませるべきで、体をしいたげてはならない。これだ春に適応し、「生気」を保養する道理である。もし、この道理に反すると、肝気を損傷し、夏になって変じ て寒性の病を生じ、人体がもっている夏の盛長の気に適応するという能力を減少させてしまう。

【原文】 素問・四気調神大論

夏三月、此謂蕃秀。天地気 交、万物華実。夜臥早起、無厭於日。使志無怒、使華英成秀、使気得泄、若所愛在外。此夏気之応、養長之道也。逆之則傷心、秋為?瘧、奉収者少、冬至重病。

【現代語訳】 夏 の三箇月は万物が繁栄し、秀麗となる季節で、天の気が下降し地の気は上昇して、天の気と地の気は上下交わり合い、万物も花開き実を結ぶ。人々は少し遅く寝 て少し早く起きるべきである。夏の日の長さ、暑さを厭うことなく、気持を愉快にすべきで、怒ってはならない。花のある植物と同じように満開にさせ、体内の 陽気を外に向かって開き通じ発散することができるようにさせるのである。これがつまり、夏に適応し「長気」を保養する道理である。もし、この道理に反する と、心気を損傷し、秋になって瘧疾を発することになり、「収気」に適応する能力が減少して、冬になると再び病を発する可能性がある。

【原文】 素 問・四気調神大論

 秋三月、此謂容平。天気以 急、地気以明。早臥早起、与?倶輿。使志安寧、以緩秋刑。収斂神気、使秋気平、無外共志、使肺気清。此秋気之応、養収之道也。逆之則傷肺、冬為?泄、奉蔵者少。 

【現代語訳】 秋 の三箇月は、万物が成熟し、収穫の季節である。天気はすでに涼しく、風の音は強く急で、地気は清粛として、万物は色を変える。人々は当然早寝早起きすべき である。鶏と同じように、夜明けとともに起き、空が暗くなると眠り、心を安らかに静かにさせて、秋の粛殺の気候の人体に対する影響を緩和させ、神気を収斂 して、秋の粛殺の気を和ませる。心を外にはたらかせないで、肺気を清浄に保持しなければならない。これが秋に適応して「収気」を保養する道理である。も し、この道理に反すると、肺気を損傷し、冬になって食物を消化しきれないで下痢を病んでしまう。人が冬の潜伏閉蔵するという気に適応する能力を減少させて しまうのである。


【原文】 四気 調神大論

冬三月、此謂閉蔵。水氷地?。無擾乎陽。早臥晩起、必 待日光、使志若伏若匿、若有私意、若已有得。去寒就温、無泄皮膚、使気亟奪。此冬気之応、養蔵之道也。逆之則傷腎、春為痿厥、奉生者少。  

【現代語訳】 冬 の三箇月は万物の生活機能が潜伏閉蔵する季節である。河の水は氷り、地面は凍って裂ける。この時期には、人は陽気をかき乱してはならない。少し早く眠り、 少し遅く起きるべきであり、起床と就寝の時間は、日の出と日の入りを基準とするがよい。心を埋め伏し、しまい隠しているかのように安静にさせる。ちょうど 人に話しにくい私情があるかのように。また、すでに秘密をつかんだような愉快な気分で、厳寒を避け、温暖に保ち、皮膚を開いて汗を出すようなことをして、 閉蔵している陽気に影響を受けさせてはならない。これがつまり、冬に適応して「蔵気」を養うという道理である。もし、この道理に反すると、腎気を損傷し、 来春になって痿厥の病を発生し、人が春の生気に適応するという能力を減少させてしまう。

【解説】 この四条の文は、 四季養生の方法を述べており、春は生じ、夏は長じ、秋は収し、冬は蔵するという四時の気候変化に適応しなければならないことを強調している。このようにし て健康を保つことができる。もしこれに反したなら、次の季節に疾病を発生することになる。

 この四条の文 は、また精神の養生を強調している。例えば春三月の「以使志生」、夏三月の「使志無怒」、秋三月の「使志安寧・・・・・・無外其志」、冬三月の「使志若伏 若匿、若有私意、若已有得」など。

3.飲食有節

『内 経』は飲食養生に非常に重視している。適切な飲食は人体の正常機能を保持し、抵抗力を高めるだけでなく、疾病を治療することができる。不適切の飮食は疾病 をもたらすことになる。したがって、『素問・上古天真論』は「食飲有節」という養生方法を指摘した。その内容は飲食に節がある、偏食を禁忌する、寒温を適 するなどがある。
 

第一:多種類を組 み合わせる

【原文】 素 問・蔵気法時論

五穀為養、五 果為助、五畜為益、五菜為充。気味合而服之、以補精益気。

【現代語訳】 五穀(粳米、小豆、 麦、大豆、黄?)は人体に栄養をつ け、五果(桃、李、杏、栗、棗)はその補助となり、五畜(牛、羊 豚、鶏、 犬)はそれを補益し、五 菜(葵、?、薤、葱、韭)は臓腑を充実させ る。気味を調和させてこれらを服用すれば、精気を補精することができる。


【解説】
 穀類、肉類、野菜類、果物類などは飲食の主要組成内容である、これらの飲食は精気を補益する作用がある。全面に配合してこそ、初め て、合理的に栄養を取り、人体の健康に益することができる。偏食は気血陰陽の平衡の失調を引き起こすことになる。


第二:飲食の治療 作用

【原文】 『素問・五常政大論』
病有久新、方有大小、有毒無毒、固宜常制矣。大毒治病、十去其六、常毒治病、十去其七、小毒治病、十去其八、無毒治病、十去 其九。穀肉果菜、食養尽之、無使過之、傷其正也。不尽、行復如法。 

【現代語訳】 病 には長期化したものと発病直後のものとの区別があり、処方には大きなものと小さいものとの区別があるので、有毒の薬と無毒の薬との服用方法にも当然一定の 規則がある。およそ、強度の毒性をもつ薬は、病の十分の六を除去し、それ以上服用してはいけない。平常の毒性を持つ薬は、病の十分の七を除去し、それ以上 服用してはいけない。弱度の毒性を持つ薬は、病の十分の八を除去し、それ以上服用してはいけない。毒性のない薬は病の十分の九を除去し、それ以上服用する 必要はない。それ以降は穀物、肉類、果実類、蔬菜など飲食によって、気を調え養って、正常な気を回復させ、邪気をすっかり取り除いて行く。過度に薬を服用 して、正常な気を損なってはいけない。もしそれでもまだ邪気が尽きされない場合には、上述の服用法を繰り返す。


【解説】 薬 は病を治すことができるが、毒や激烈な性質があるので、人体正気に一定の損害をもたらす。したがって、薬の性質と毒性によって薬の使う基準及び飲食調養の 原則を決めるべきである。本文はまた「食養」の重要原則を提起した。病後に残留している病邪に対して、飲食により栄養を増加し、正気を回復して、余邪を除 去する。食療法は病の治療、病の予防、臓腑精血の滋補、体質の増強などの各方面において、いまも重視されている。

 
第三:調和五味


【原文】 素問・生気通天論

 陰之所生、本在五味。陰之五宮、傷在五味。是故味過於酸、肝気以津、脾気乃絶。味過於鹹、大骨気労、短肌、心気抑。味過於 甘、心気喘満、色黒、腎気不衡。味過於苦、脾気不濡、胃気乃厚。味過於辛、筋脈沮弛、精神乃央。是故謹和五味、骨正筋柔、気血以流、?理以密。如是則骨気以精。 謹道如法、長有天命。 


【現代語訳】
 陰 精が生み出される源は飲食の五味にある。しかし精を収蔵する五蔵は、逆にまた飲食の五味の超過によって損傷する。ですから酸味のものを多食すると、肝気が 大いに盛んになり、脾気は衰竭するのである。鹹味のものを多食すると、大骨は損なわれ、肌肉は萎縮し、心気は抑鬱する。甘味のものを多食すると、心気は煩 悶し安定せず、顔は黒ずみ、腎気は平衡がとれなくなる。苦味のものを多食すると、脾気は潤沢でなくなり、消化は悪く、胃部は脹満する。辛味のものを多食す ると、筋脈は傷れ弛み、精神も同時に損なわれる。故に飲食の五味の調和に注意すれば、骨格はゆがまず、筋脈は柔軟で調和し、気血は流通し、腠理は緻密でしっかりす るのである。このようであれば骨気は剛強となる。人は必ず養生法則を慎んで厳しく守らなければならない。そうすれば天与の寿命を享受することができるので ある。

【解説】 原 文は陰精が五臓に蔵され、五味(飮食)は陰精を化生する。しかし、五味が太過及び偏食すれば、五臓を傷害することになる。五味による傷害が、その五行帰属 及び五行相生相克相乗相侮の法則によって、それぞれの臓腑及び身体の各部位を傷害することを述べている。したがって、「謹和五味」をしなければならない。


 

【原文】 素問・五蔵生成篇

是故多食鹹、則脈凝泣而変 色。多食苦、則皮槁而毛抜。多食辛、則筋急而爪枯。多食酸、則肉胝皺而唇掲。多食甘、則骨痛而髪落。此五味之所傷也。放心欲苦、肺欲辛、肝欲酸、脾欲甘、 腎欲鹹。此五味之所合也
 


【現代語訳】
 鹹 味を多く食べると、血脈は暢びやかに流れず凝滞するようになり、色沢にもまた変化が生ずるようになる。苦味を多く食べると、皮膚は枯槁するようになり、毛 もまた抜けるようになる。辛味を多く食べると、筋脈は緊張してひきつるようになり、爪もまた枯槁するようになる。酸味を多く食べると、肌肉は厚くなって皺 をつくるようになり、口唇もまためくれ上がるようになる。甘味を多く食べると、骨格に疼痛を生じるようになり、頭髪もまた抜けるようになる。これらの変化 は、いずれも五味を偏って食べたことによって受けるようになる傷害である。心は苦味を好み、肺は辛味を好み、肝は酸味を好み、脾は甘味を好み、腎は鹹味を 好む。これは、これらと五蔵と合う相性である。


【原文】 素問・至真要大論
夫五味入胃、各帰其所喜。 故酸先入肝、苦先入心、甘先入脾、辛先入肺、鹹先入腎。久而増気、物化之常也。気増而久、夭之由也。

【現代語訳】 お よそ五味は胃に入って、それぞれ好む臓に入っていくのである。故に酸味は先ず肝に入り、苦味は先ず心に入り、甘味は先ず脾に入り、辛味は先ず肺に入り、鹹 味は先ず腎に入る。もし長い間それらが蓄積されると、それぞれの臓の気を増強することができる。それが薬物の人体内における気化の一般法則である。ところ が、五臓の気があまりに長期間増強され続けると、死に至る原因ともなるのである。 

【解説】 食物はそれぞれ五臓に帰属しているので、長期間にわたる偏食すれば、臓腑の気の偏盛や偏衰を引き起こ す



第四:飲食宜忌

 

【原文】 素問・熱論

帝日、熱病己愈、時有所遺 者、何也。岐伯曰、諸遺者、熱甚而強食之。故有所遺也。若此者、皆病己衰而熱有所蔵、因其穀気相、両熱相合、故有所遺也。帝曰、善。治遺奈何。岐伯曰、視其虚実、調其逆従、可使必己矣。帝曰、病熱当何禁之。岐伯曰、病熱 少愈、食肉則復、多食則遺。此其禁也。


【現代語訳】
 黄 帝が問う。「熱病がすでに治癒したはずなのに、余熱の続くときがあるのはどういうことか」。岐伯が答える。「一般に、余熱が続く病人は、すべて発熱の甚だ しいときに無理に〔多〕食させたため、熱がすっきりとひかずに残ってしまったのです。このような病人では、病がすでに衰退しているにも拘らず裏に余邪が潜 んで消えていなかったため、強いて飲食を取れば食物は消化されずに熱を生じ、これと余邪とが結合するために余熱が続くのです」。 黄帝がいう。「よくわ かった。それでは余熱を治療するにはどうすればいいのか」。岐伯がいう。「それにはその病人の虚実をよく観察し、臨機応変に補と瀉とを使い分ければ必ず治 癒させることができる」。 黄帝がいう。「熱病の際には何を禁ずべきか」。岐伯がいう。「熱が少し下がってきたときに、肉類などの消化の悪いものを与えれ ば再発するし、多食すれば余熱が残る。そこで熱病のときには肉類や多食を禁じるのである」。 

【解説】 本文は熱病の飲食調養と食物の禁忌、食により熱病の余熱を再発させることがるのを指摘した。熱病が少し全癒に向かうところに、無理に 多くの飲食を取ること、肉類などの熱を助け、消化しにくい飲食を過食すれば、余熱を再発することになる。

 
【原文】 素問・宣明五気篇

五味所禁。辛走気。気病無多食辛。鹹走血。血病無多食鹹。苦走骨。骨病無多食苦。甘走肉。肉病無多食甘。酸走筋。筋病無多食酸。是謂 五禁。無令多食。
現代語訳 五 臓の病にはそれぞれ禁忌がある。辛味は気に走るので、気病のときには辛味を多食してはならない。鹹味は血に走るので、血病のときには鹹味を多食してはなら ない。苦味は骨に走るので、骨病のときには苦味を多食してはならない。甘味は肉に走るので、肉病のときには甘味を多食してはならない。酸味は筋に走るの で、筋病のときには酸味を多食してはならない。これがいわゆる五禁である。多食させてはならない。

4.起居有常
  

起 居有常は生活起居には一定の規則があることを指している。主に睡眠、労働、性生活などを含んでいる。長生きは、必ず「法則大地、象似日月」(『素問・上古 天真論』)をしなければならない。そのため、『素問・四気調神大論』には四季の朝晩の臥起があり、『素問・生気通天論』には平旦、日中、日西の労作休憩が ある。
 

①まず労逸適度 

【原文】 素問・宣明五気篇
五労所傷。久視傷血。久臥傷気。久坐傷肉。久立傷骨。久行傷筋。是謂五労所傷。 

【現代語訳】  五種類の過労が人体 に与える損傷。長くものを視すぎると血を損なう。長く寝すぎると気を損なう。長く坐りすぎると肉を損なう。長く立ちすぎると骨を損なう。長く歩きすぎると 筋を損なう。これがいわゆる五労が傷る所である。 

【解説】 本文は主に労と逸とも適度すべきで、過労と過逸はいずれも人体に影響を与え疾病を引き起こす。久立、久行、久視は過労で、久臥、久坐 は過逸である。過労と過逸に注意することも、中医養生学の重要な内容である。
 
【原文】 素問・経脈別論篇
故飲食飽甚、汗出於胃。驚 而奪精、汗出於心。持重遠行、汗出於腎。疾走恐懼、汗出於肝。揺体労苦、汗出於脾。故春夏秋冬、四時陰陽、生病起於過用。此為常也。 

【現代語訳】 飽 食すると、汗は胃から出る。驚いたり恐しい目に遇って精神が影響を受けると、汗は心から出る。重いものを背負って遠出をすると、汗は腎から出る。疾走して しかも恐れると、汗は肝から出る。過度の労働をすると、汗は脾から出る。このため、春夏秋冬、四時・陰陽の変化の中にあっては、発病の原因は体力の使用、 飲食、労働、精神の使用などが過度に及んで発生する場合が多いのである。これが発病の一般的な状況である。」 

【解説】 本文は養生学の一つの重要理論、即ち、「生病起於過用」を指摘した。「過用」は常度を越え、事物の固有な正常な法則を反することであ る。例えば、飲食の過食、労働の過労、情緒変化の過度などの「過用」はいずれも、疾病を引き起こす。
 

②その次、節欲
 
【原文】 素問・上古天真論

酔以入房、以欲竭其精、以 耗散其真。・・・・・・故半百而衰也。 

【現代語訳】 酔っては房事を恣いままに行い、色欲のおもむくままにして、精気を使い竭し、真元を消耗し散佚させてしまう。・・・・・・こんなこと だから五十歳になるやならずで衰老してしまうのである。」
 
 【原文】 素問・百病始生篇

酔以入房、汗出当風、傷脾。用力過度、若入房汗出浴則傷腎。

【現代語訳】 酒に酔った後で房に入り、汗をかいて風に当たると、脾は傷られる。過度に力を使ったり、或いは房に入り、汗をかいて水を浴びると、腎 が傷られる。
 

【原文】 素 問・痿論篇
        
思想無窮、 所願不得、意淫於外、入房太甚、宗筋弛縦、発為筋痿、及為白淫。故下経曰、 筋痿者、生於肝、使内也。 

【現代語訳】 絶えず妄想をたくま しくし、しかも、思いどおりにはならないで、外で淫らな考えをあふれさせ、内で房事が過ぎると、宗筋が弛緩し、筋痿と也、遺精や白帯の病となる。それゆえ 『下経』では、「筋痿は肝病によって発生し、房事過度による精気の消耗にもよる」と述べている。 

【解説】 以 上の三条はいずれも性生活過度による危害性を指摘している。第一条では房労過度は腎精を損傷するだけでなく、人体の真元の気も損傷することを説いている。 第二条では酒に酔った後で房事を行うと、先天の本の腎を損傷するだけでなく、後天の本の脾をも損傷することを説いている。第三条では常にあれこれとくだら ないことを思いめぐらしたり、妄想をしたり、外で淫らな考えをあふれさせ、内で房事が過ぎると、筋痿或いは白淫を引き起こす。これは肝を傷った結果であ る。以上からわかるように、房室不節、房事過度すると、腎、肝、脾、陰精、元気を損傷することになる。

Copyright(C) Toyo Igaku Kenkoukai All Rights Reserved.